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【第11回】〜横須賀〜春の五目釣り|魚群探知器でもわかる 特有の行動パターン
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メバルの世界は
年功序列の縦社会!?
 アジの合間に少しずつメバルの釣果も増やしていくウエカツ。
「メバルという魚は年功序列なんだな」ウエカツ曰く、メバルの群れには特有の行動パターンがあるのだそうだ。
「メバルの群れの形は、潮が効いて餌が流れてくると、魚群探知器で見ていてもわかるようにタテ型になる。そして、その上のほうにいるヤツほど大きい。中でも大きなやつは、潮上の一番最初にエサを食べられる位置を陣取っている。だから、大きいのは上のタナで掛かるでしょ?」
「でも、それより大きい尺越えサイズとなると、群れを離れて独自の餌取りをする。流れてくるものじゃなくて、体に合わせてもっと大きいエビ・カニや小魚を捕食するようになるからね」
 しかし、春先のこの時期に釣れるメバルは、そんな大きなサイズはほとんどなく、15センチにも満たないような小さなものも多い。
「筍メバル≠チて聞いたことあるでしょ? 春先には小さなメバルがそれこそ雨後の筍のようにワンサと涌いてくる。さらにその時期が筍の生えてくる時期と重なるもんだから、そんなふうに言ったんでしょうよ」しかし、そんな小さなメバルを料理して、はたして美味しいのだろうか。
「この春の小メバルには、これにしかない味わいがあってね。でもその旨さを知ってる人は少ないと思うなあ」小型のメバルは一般的には値段もつかず、特に関東ではほとんど流通に乗ることがない。しかしウエカツは続けて言う。「この小メバルの天ぷらの味たるや、秋のハゼと双璧だね! これだけは釣って食わねばわからん、釣り人冥利の味なのよ」
白には白の、黒には黒の小型には小型の食べ方が
 だから本来ならばリリースするサイズのメバルでも、「この旨さは、まさに早春の魔味だからね。かわいそうと思いつつも、この時期に限って『ゴメンゴメン』と心で詫びながら食べる」その調理と味については後に述べるとして、小春日和の日差しの下、釣りは続いてゆく。
「お、今度は黒だねえ」アジに混ざり続いて赤メバルも釣れてきた。
 この3種。違うのはDNAだけではなく、その行動や味にも違いがあるとウエカツはいう。
「まず赤。これは海藻や岩に付く性質が強いので運動量が少なく、柔らかくシットリした肉質が特徴。薄めのたっぷりの出汁で静かに煮た『沢煮』が向いている」
「黒は回遊性が強いので、筋肉が強くて、皮も弾力があってゴム質。だから身はそぎ切りにして、湯引きにした皮を添えれば、肉の甘みと食感がいい。煮たり焼いたりすると身や皮が堅い」
「最後に白メバル。これは場所によっては茶≠ニか金≠ニ呼ばれていたやつ。行動も味も赤と黒の中間で味のバランスが良く、刺身や煮つけ、塩焼きなど、いろんな料理に向いている」
 そして、今回やらかそうという、天ぷらで一番旨いのがこの白メバル。「それも15センチ以下。できれば10センチくらいならば最高」なのだという。
 ちなみにこのメバル。今回はアジ釣りに混じって釣れてきたが、メバルを狙う釣り方では小さなエビ(藻エビ)を使ったエビメバル≠ニいう釣り方が東京湾では盛んだ。そして夏が近づいてくると、青イソメを使った夜釣りも始まる。「これはメバルの食性にかなった釣り方だね。24時間連続でメバルを釣ってみるとわかるけど、日照に合わせて、メバルは夜が明ければエビしか食わないし、日が沈めばイソメにしか食ってこない。エビは昼、イソメは夜に活動するからで、つまり魚ってのは、その時にエサとして食いやすいものを合理的に食っていて、それに合わせて釣りを組み立てるということですね」
 先人たちの経験から生まれた理論や技術によって確立された釣りの世界は、実に奥深いものなのだ。
 ちなみにこの号が発売される3月には、猿島周りのメバルを専門で狙う独特のサビキメバル≠フ乗り合い船が始まる。寄せ餌を使わず、醤油で染めたサバの皮を疑似餌にして誘う釣り方だ。
 「メバルって魚は眼がよく神経質だけど、一回喰いが立つと、それこそバリバリ喰いだす二面性が、この釣りの面白さでもある」 
 そんなバリ喰いに出会えたなら、これから紹介する料理をぜひ堪能してほしい。
今回の仕掛け&タックル
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 リールは感覚的な操作できるJOGパワーレバーと左ハンドルが、利き腕一本での軽快なアクションを可能にした小型電動リール「シーボーグ150J-L」。手の平にのるコンパクトサイズながら、タイ、アマダイからアジやメバルまでこなせる優れモノ。
今回の船宿「村上釣船店」
東京湾横須賀猿島近辺の美味しい魚を釣らせることで人気の老舗船宿。春はメバル、カサゴ。有名な金アジは、周年乗合船を出している。千代吉丸≠ニいう別名もあるので別の船宿だと思わないように注意!
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貸し道具も豊富に揃う。
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お客さんが置いていった使用済みのオモリを、女将さんが鋳溶かして作る自家製のカジ付きオモリ。
神奈川県横須賀市三春町3-11-19
TEL 046-825-9455
【料金】乗合は大人6,000円から
【HP】http://www.k5.dion.ne.jp/~chiyoki/
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