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> 魚の国ニッポンを釣る!
大学の自治会やったり、農家で働いてみたり、色々やったんだけど、そんな中で漁船に乗ることにした。船長が岩永善市さんという人でね。この人が人格者だった。そしてその時の漁船こそが、シイラ漁船だったのだ。
一度食べてもらえば、若い世代にも、今まで毛嫌いしていた関東周辺のガンコな世代にもすぐにわかるのだ。「似た魚が他にいない、まさにオンリーワンな魚。秋に鮭というならば、夏はシイラという、まさに最強の惣菜魚なんだ」
「ギャアー、コン畜生!」見ると、綾ちゃんがダイワの大型リールにしがみついていた。近づくと、3メートルはあろうヨシキリザメと格闘中だ。疲れ切った腕を押さえて「やったーッ」。高校二年生になった、彼女の笑顔にかなう酔い止め薬はない。
「洗い」は、氷水を作っておき、サク取りしたシイラを薄造りにして、素早く沈めていく。切り身は一瞬白じみ、「冷たい!」と言わんばかりに縮こまる。水気を拭き取り、辛子酢味噌で食す。
漁師料理で知られる「なめろう」とは、魚を味噌と長ねぎで舐めるほどよく叩いたもの。それを団子状に丸めてつぶし、フライパンで焼く。漁師料理では「なめろう」を焼いて、「さんが焼き」と言う。
身が薄いことで、実の育たぬ稲の籾『しいらモミ』になぞらえてシイラと呼ばれたとも。沖縄では『マンビカ』と呼ばれ、喜ばれる魚の筆頭。
上田勝彦
うえだかつひこ
1964年、島根県出雲市生まれ。長崎大学水産学部在学中より、長崎県野母崎の漁船に乗り始め、各地を行脚する。魚食復興団体『Re-Fish』代表。
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