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> 【第4回】諏訪湖 ワカサギ|味だけではない
問題は流れ込んだ先だ。大抵の湖には、水が流入する入り口があるのと同時に、排出する出口があるのだが、そんな出口のない湖もある。
榛名湖も赤城大沼も、そんな出口のない”火山活動でできた”湖であった。
つまり、榛名湖にも赤城大沼にも、入り込んだ放射性物質の逃げ道がないということだ。
さらに地理的には、放射性物質が拡散する方向である、福島第一原発のちょうど風下の位置。
湖水の放射性セシウムは、いやがうえにも高くなってしまったというわけだ。
ワカサギという魚の生態自体も、この悲劇に拍車をかけた。
海水に住む魚は、体内の濃度が上がらないよう、海水を摂取したそばから、エラを使って塩類をどんどん排出していく。そして排泄物も非常に濃いものを出す。
逆に淡水魚は、体内のわずかな塩類をとどめようと、エラから塩分を出さないようにし、排泄物も薄いものしか出さない。
そして放射性セシウムは、塩類のひとつであるカリウムと一緒に動くといわれている。
海水魚は塩類をどんどん排出することで、もしセシウムを摂取したとしても、同時に排出もしているのであるが、それに比べて淡水魚はどうしても体内にセシウムを蓄積しやすい傾向にある。
今、榛名湖でのワカサギ釣りは中止。赤城大沼では、去年の秋からワカサギ釣りが解禁になってはいるが、あくまでゲームフィッシングが条件。釣ったワカサギは、四カ所設けられた回収箱に入れるか、遊魚券を買った店に持ち込まねばならない。
これは、釣りができなくなりました、楽しみが減りましたねェなんていう生易しい問題ではない。
榛名湖のワカサギ釣り中止を決めた榛名湖漁協にとって、ワカサギ釣りは、漁協全収入の半分を占めていたのである。それがなくなることは、まさに死活問題なのである。
それだけではない。ワカサギ釣り客相手の旅館もあれは、土産物屋も大打撃なのだ。
ただ放射性物質というのは重いので徐々に湖底に沈んでいき、そして土中へと沈殿していく。いくら水の出口がないからといっても、水中のセシウム濃度は、徐々に減っていくのだそうだ。
そしてワカサギというのは、長く生きても2年。世代交代は早い。水がきれいになり、世代交代が進めば、また安全なワカサギが戻ってくる希望は、「大いにある!」とウエカツは言った。事実、赤城大沼でのワカサギのセシウム数値は、一昨年は500ベクレルを超えていたが、今年は180ベクレルまで下がっている。
ワカサギが他の魚では代わることのできないのは味だけではない。ワカサギという存在はワカサギでしか満たしえないのだ。
諏訪湖のドーム船の中では、ウエカツのリールが巻かれていた。「また釣れた…ほんとありがたいねェ」
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小さな仕掛けを手に、ワカサギ釣りに熱中するダイワ釣りインストラクター・小堀友理華。彼女の釣る様子を見ながら、ウエカツもすぐに、エサを次々に付け替える釣り方をマスター。2匹連なって釣れるのは、珍しくない光景。
今や全国のワカサギ釣りのスタンダードともなったドーム船を最初に考案。船まで出前してくれる昼食のカレーが、これまた旨い!
長野県岡谷市湊5-14-7 TEL 0266-23-4423
ドーム船・乗り合い料金(1日)大人3,500円、4才〜小学生3,000円、3才以下1,500円。遊漁券 1日1,000円。仕掛け、エサなどの販売もあり。
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