美味極楽メインページ魚の国ニッポンを釣る! > 【第4回】諏訪湖 ワカサギ|手釣りの感覚を損なわない
【第4回】諏訪湖 ワカサギ|手釣りの感触を損なわない “ワカサギ”釣り
次々に釣れるワカサギにウエカツの頬もほころぶ
輝く魚体に、追いかけたくなる
味が詰まっているのだ
「お〜ッ釣れた釣れた!」銀色に輝くワカサギを愛しそうに見つめつつ、ウエカツが言う。
「いやね、ワカサギみたいな小さな魚に電動リールってのはいかがなもんか。そう思ってたんだよ」
 ウエカツには、いつも危惧していることがあった。
「魚料理もそうなんだけど、面倒くさいとか、難しいとか、そうやってやらない人が多いんだよ。人間って比較で考えるから、自分で料理しないでも食べられるものが出てくると、どうしてもそっちの方が『簡単だから』って、しないほうに流れてしまう」
 確かに、魚をさばける主婦の割合は、今どのくらいか? 正確なデータを知るのは少し恐ろしい気もする。
「でもさ、面倒臭かったり、難しかったりする魚料理だからこそ、それを習得して上手くなっていく喜びがあるんだよ。人間の進化がそこにあるんだよ。でも、なんでもかんでも便利になってくると、そういう習得する喜びが失われていく。これはもう、人間として生きるという大事なものを失ってしまうことだと、僕は思う」
 そしてワカサギ釣り用の電動リールにも、そんな大事なものを失ってしまうような危惧を抱いていたのだ。
「実際やってみたら、思いのほか楽しいね。機械が軽いから手釣りの感触を損なわない」
 ワカサギ釣りだけでなく、穂先を代えて、海の小物釣り……たとえばハゼやシロギスに使っても、
「けっこう楽しいんじゃねェか?」と早くも、その新しい使用法のアイデアまで湧き出しているのだが、今回はあくまで、その正統的な使用法のワカサギ釣りだ!
 ワカサギは次々と釣れていく。
 ワカサギ釣りのコツは、餌付けにあるという。エサは紅サシ。人工的に育てられた、1センチ弱の生きた幼虫だ。この尻の部分に、針をチョン掛けし、頭の部分をハサミで切る。
 この頭を切ることで餌のエキスを水中に漂わせ、ワカサギを寄せる。そして釣る。
「生きた幼虫? そんなの餌にして釣った魚は、ワタシ、絶対に食べられない、食べたくない!」という女性もいるだろう。
 しかし心配はない。ワカサギが普段湖の中で食べているのはミジンコや小さなエビ類といった動物プランクトンだ。釣りあげた時に紅サシを食べていたとしても、バケツの中に泳がせていれば、すぐに吐き出すし、そもそも釣り針からワカサギを外したとき、たいていはまだ針に紅サシはついたまま。ワカサギは紅サシを食べる前に、ちょっと口にくわえた程度で釣られてしまうのだ。
釣る面白さ。食べる楽しさ。
ワカサギを堪能できる日は、きっとまた来る。
繊細な味わいは、まさに追いかけたくなる味!
 しかし、釣り針に紅サシがついたままだからといって、そのままエサを付けッ放しにしていたのでは、すぐに魚信は止んでしまう。
 ドンドン新しいエサに付け替え、常に紅サシのエキスを漂わせるのが、ワカサギを釣り続ける最大の秘訣なのだ。
「ワカサギってのは、なにしろ見て旨い!」とウエカツは言う。
「見て旨くて、触って旨い。そして食って旨い!!今回料理しようと思ってる『ワカサギの釜揚げ』なんてね、ひと口食べたあと、必ずもうひと口食べたくなる。そしてもうひと口食べると、またひと口食べたくなる」。ウエカツ曰く、こういう味を『追いかけたくなる味』と言うそうだ。
「最近は肉でも魚でも脂がのったものが人気があるけどね、外国産のサーモンとか」。ちなみに回転寿司などで大人気のいわゆる”サーモン”。これは、日本人が普通「サケ」と聞いて連想するシロザケ(秋味)やベニザケ、ギンザケではなく、チリやノルウエーで養殖されているサーモントラウト、つまりは日本でいうところの”ニジマス”なのだそうだ。「それはそれでいいんだけど、なんでもかんでも脂っこきゃいいっていうのは、どうだかね〜」。日本人の味覚の嗜好が一辺倒に、そしてものすごく幅の狭いものになっているのは確かかもしれない。
「大事なのは、淡白なワカサギには、ワカサギならではの美味しさがあるってことなんだよ。それをやっぱりみんな知った方がいい。ワカサギの味っていうのは他の魚では取って代わることのできない、ワカサギだけの味なんだから」
 そんな他の魚ではとって代わることのない味わいを持つワカサギを釣るには、餌付け以外にもうひとつの、少し高度なコツがある。
 それは意外にも多点掛けを狙わないことだ。
 ワカサギ釣りというと、針の並んだ仕掛けにズラズラ〜ッと魚を連ねたくなるものだ。一匹針に掛かったとしてもリールは巻かず、パチンコの連チャンの如く追い食いを狙いたくなる。
 しかし、ワカサギは頭のいい魚で、一匹でも自分の仲間が針に掛かったことに気づくと、その場から逃げる習性があるという。
 だから、一匹でも針に掛かったら、そのことを他のワカサギに気づかせないためにも、すぐにリールを巻いた方が、最終的には群が離れず、大漁につながるという。
 そして、大きな群が居つけば、リールを巻いている最中にも自然と追い食いをしてくる。そんな多点掛けを狙いたい。そんなワカサギ釣りを楽しみたい……のであるが、このワカサギ釣りにも今、大きな問題が持ち上がっている。
 あの放射性セシウムだ。
 この諏訪湖と同じように、ワカサギ釣りのメッカとして有名な群馬県の榛名湖、そして赤城大沼のワカサギから、基準値を超える放射性セシウムが検出されているのだ。
「榛名湖も赤城大沼も閉ざされた湖沼なんだ」
 ウエカツがわかりやすく説明してくれた。
 あの原発事故によって、放射性物質が空中に拡散し、そして雨となって地表に落ちてきた。その放射性物質は水とともに川を流れて湖や海に流れ込んでいく。
Photo
(左) 取材で乗った、10畳程度の広さの屋形船
(中) 釣りのポイントを教えてくれる、「みなと」の中澤さん
(右) これまで縁のなかったワカサギ釣りに挑むウエカツ
この日の仕掛け&タックル
Photo
Image
クリスティアワカサギCRは、水深の測れる水深カウンターに、数百匹にもなる釣ったワカサギの数をカウントできる魚カウンター、さらにはリール巻き上げ速度を調節できる5段変則巻き上げスピード調節機能、減速停止スイッチなどを搭載。快適でトラブルの少ない釣りが楽しめる。
リールは初の量産型ワカサギ専用電動リールとして爆発的にヒットした『クリスティアワカサギMR』の機能をさらに発展させた『クリスティアワカサギCR』。そしてロッドにはもちろん、繊細な穂先でアタリをとらえ、確実に合わせられる2段テーパー構造の『クリスティアワカサギ穂先』!
1 2 3 4 5≫