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【第1回】駿河湾 駿河サバ|“駿河サバ”の実力を引き出す“神経締め”
駿河サバの実力を引き出す「神経締め」
 港の岸壁を指さし、江嶋がいう。
「船のイケスから直接サバを入れられる水槽をアソコに作ります」
「水槽は光が入らないように黒張りにした方がいいね。それがストレスを一番かけない」
 アドバイスするウエカツ。
「もちろんそのつもりです」
「そして一晩寝かせて、活け締めにして出荷する。でも今日はスケジュール的に無理があるし、港に帰ってくる間にある程度落ち着いただろうから、いまから活け締めにしてみよう」
 ウエカツが実演した活け締め、及び神経締めの手法は、かなり魚に詳しいと自負している人間でも驚くことばかりだろう。例えば…。
 血抜きをする時、エラと尾の2カ所を切る人がいるが、2カ所あると血圧が下がってしまい、体のどこかに血液が残る、などなど。
 驚くことといえば、サバの寄生虫で“あたる”と言われるアニサキスに関してのウエカツの科学的論理も驚きの納得だ。
「今までずいぶんサバのアニサキスを見てきたが、旬の元気のいいサバにいるアニサキスは内臓の中で丸まっている。産卵後に体力を落としたサバでのみ、肉の中へと入っていく。つまり旬の旨いサバなら内臓を取ってしまえばアニサキスに当たることはない」
魚のベストな締め方“神経締め”をマスターする
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イケスに活かして、ストレスを取ったサバの眉間(上生体)に手カギを刺し、即殺する。
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頭を左、腹を向こうに向けた状態でエラの裏にナイフを入れ、脊椎下の血管を切る。
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常温の海水をできればかけ流しにして、サバを10分ほど浸けて放血する。
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放血したサバの眉間の穴から神経締め専用具を脊椎に沿って挿入。脊椎神経を破壊する。
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大量の氷で冷やした海水に、魚の表面が色鮮やかに甦るまで浸ける。「予冷」は10分ほど。
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クーラーに濡らした新聞を敷き、魚を並べラップをかけ、四隅に氷を打つ。冷やし過ぎは厳禁。
 締めてから8〜12時間後に、もっとも美味しくなるという駿河サバだが、締めた直後ですら味見をすれば、柔らかいのに歯ごたえがあり、なにより噛むたびに旨みが染み出てくる。ウエカツは言う。
「扱い次第でどうしようもない下魚にもなれば、超高級魚にもなる魚。それがサバの面白さよ!!」
 駿河サバ。その質は間違いなく高級魚のそれであった。巻き網でいくら大量のサバが水揚げされても、ここに「駿河サバ」は、いわば別種の高級魚として歩み始めた。
 いずれは値崩れしない強さを備え、本当のブランドになっていくことを切に祈る。そして日本漁業の未来もまた、我々の魚の扱い方ひとつにかかっているに違いない。
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