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> 魚の国ニッポンを釣る!
気仙沼からフェリーで25分。気仙沼湾の湾口部に浮かぶ島・気仙沼大島。 震災の恐ろしさを超える希望がこの街にはある。復興にかける市民のバイタリティーだ。
「みんながんばってんだよ」 荒れ地に草木が芽吹きつつあるようなその光景に上田がつぶやく。
波、うねり、そして高水温。どうやら今日はアイナメ釣行としてはかなり条件が悪いらしい。 狙っていたビール瓶クラスの大物こそは手に入らなかったものの、上田熟練の神経締めで、その質が最上となることは間違いない。
アイナメと言えば、少年時代、忘れた頃に堤防の"置き竿"にかかっていた魚というイメージが強い。大人の食べる魚の味とは違って、子ども心にも"野性味"を感じていた。そんなことを思い出しながら、気仙沼市立大島公民館(元・大島村役場)へと向かう。
何とかやるしかないだろう……。 魚料理は磯魚ほど、その魚の個性を活かした方がいい。今回のアイナメはゼラチン質の強い魚だ。その成分は主に皮に含まれており、固いからと皮を捨ててしまったりすると、アイナメ料理は生きてこないのだ。
「小さなアイナメでもこんなに刺身ができるんですか? 感動です。それに何より美味しい!」小皿の枚数だけが多い料理など、もはや"ご馳走ではない"。20センチのアイナメ一匹の料理で、島の方々は目を見開いてくれた。感動をもらったのは、ボクらも同じだ。
北海道では“アブラコ”。関西では“アブラメ”。根に棲むことから東北では“ネウ”とも呼ばれる。上に書いたように夏に絶品。ウエカツ曰く「脂質とゼラチン質のバランスのもっともいい魚といえばアイナメ!」
上田勝彦
うえだかつひこ
昭和39年島根県出雲市生まれ。長崎大学水産学部在学中より長崎県野母崎の漁船に乗りはじめ、各地を行脚する。平成3年に水産庁入庁。南氷洋の調査捕鯨や太平洋のマグロ漁場開発、日本海の資源回復プロジェクトなどを経て平成21年より増殖推進部研究指導課・情報技術企画官。魚食復興団体「Re-Fish」代表。
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