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【第2回】気仙沼大島 アイナメ|地魚の楽しみ方をたっぷりと伝授 西潟正人流 ・アイナメの煮付け・アイナメの刺身
絶品!気仙沼大島のアイナメ料理!
地魚の楽しみ方をたっぷりと伝授
 何とかやるしかないだろう……。
 魚料理は磯魚ほど、その魚の個性を活かした方がいい。今回のアイナメはゼラチン質の強い魚だ。その成分は主に皮に含まれており、煮付けにすると、翌日にしっかりとした"煮こごり"になるのはそのためだ。固いからと皮を捨ててしまったりすると、アイナメ料理は生きてこないのだ。
「皮も食べるんですか?」
 日々アイナメを食べ慣れている地元の方も、これは目からウロコだったよう。メモを取る方々に、
N「皮だけではありません。魚の腹には宝物が詰まっているんです。肝臓や胃袋も捨てないで下さい」
N「アイナメの煮付けは唇が醍醐味。唇がぷっくり膨らんできたら、出来上がった証拠です」などなど説明する。
 U氏も「炙った皮が美味しいんです」「わさび醤油でなく、にんにく醤油、レモンと塩で締めても旨いです」などと、大きな声で料理の説明をしている。だが、地元の方に囲まれてその姿は見えない。カメラマンはあっちへ跳んだり、こっちへ来たり。あれもこれもと撮影中。
 なんとかアイナメ料理が大島の名物のひとつになってくれれば。作る側にも、教わる側にもそんな思いがあり、みな、汗だくだ。
その舌で確かめてほしい 気仙沼大島のアイナメ
 そして1時間後。刺身に煮付け、炙りなどいくつものアイナメ料理が完成。それまでアイナメが? 
 と半信半疑だった表情がすっかり驚きと期待に変っている。
「小さなアイナメでもこんなに刺身ができるんですか? 感動です。それに何より美味しい!」
N「色んな魚に、応用できるんです。東北地方の海には美味しい魚がたくさんいます。小魚だからって、捨てたモンじゃないでしょ?」
 山間の旅館に泊まっても、山菜などは都会の人に失礼だ……などという考えがある。漁師町でも、土地の魚は隠れたままだ。
 小皿の枚数だけが多い料理など、もはや"ご馳走ではない"。20センチのアイナメ一匹の料理で、島の方々は目を見開いてくれた。感動をもらったのは、ボクらも同じだ。
「春先の真っ黄色なアイナメは食うけどなぁ……」
「そりゃ、卵を守っているオスですよ。食べちゃダメ! 海から、アイナメがいなくなっちゃうよ」
「ありゃ……。今日みてぇな小さなモンで商売になれば、無理に捕らんでもエェ。アハハハ……」
 みなさんの笑顔に、疲れなんて吹っ飛んでしまう。ビールが旨い!
Photo
アイナメの刺身
材料(2人分)
アイナメ  中1匹
ポン酢または醤油  適量
作り方
(1) ウロコをタワシや包丁の背などを使って丁寧に落とす。
(2) アイナメの頭部を落とし、3枚におろし、皮を引く。
(3) 内臓はエラ下から外し、食道、胃袋を切って開き、中の物をきれいに洗い流す。
(4) 肝臓(キモ)から、苦みの元となる胆のうを丁寧に外す。
(5) 鍋に熱湯を沸かし、胃袋・食道、肝臓(キモ)、そして皮の順番に入れて、サッとくぐらせたら冷水に取る。
(6) 身はそぎ切りにし、皮は千切り、胃袋・食道は繊維に対して垂直に千切りにして、器に盛りつける。
(7) ポン酢でいただく場合は、器に叩いてペーストにした肝臓を添える。
(8) 醤油でいただく場合は、肝臓を溶いた醤油でいただく。
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アイナメの煮付け
材料(2人分)
アイナメ  中1尾
ネギ(青い部分)  1本分
水  200ml
酒  300ml
醤油  大さじ2
みりん  適宜
作り方
(1) ウロコをタワシや包丁の背などを使って丁寧に落とす。
(2) 頭部は、胸ビレを付けて切り落とす。
(3) 胴を2つ割りにして、カマ部分など適宜に切り離す(胸ビレはある程度長さを揃えた方が煮上がった姿がきれい)
(4) 粗塩で揉み、5分ほど置いてから水洗いする(匂いや汚れを取る)。
(5) 鍋に8cm程度に切ったネギを敷き、ぶつ切りのアイナメを乗せる。
(6) 鍋に水を入れ、強中火で水から煮てアクを取り、酒と醤油、好みでみりんを少々加えて煮る。
(7) さらに弱火で数分煮て、鍋を火から外し、ゆっくりと冷まして味を染み込ませる。
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