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> the chef and the sea
「他の船ではアタリがちらほらあるようだから、キハダマグロがいるのは間違いないんだけどね」魚群を追いながら実質4時間ほど糸を垂らしていたが、取材班の竿は一度も揺れることはなかった。
連載第1回目でシェフが「料理の味の8割は食材の良さ。料理人にできることは2割」と話したことを思い出す。釣りを通してありのままの自然にふれることが料理に良い影響を与えるとシェフ。「料理人にできる2割には、消費の最前線で食材の価値をきちんと伝えるという責務もある。その気持ちが強くなったね」
「シイラは皮と身の間の独特の香りが毛嫌いされる。でも、味噌を塗り込むことで、それも美味しさに変えることができるんだ。シイラってホントは旨い魚なんだよ」イタリアンの要素がないような気もするけど、もはやそんなことはどうでもいい幸せな味。素材の持ち味を生かすシェフの真骨頂だ。
ありま・くにあき◎「パッソ・ア・パッソ」オーナーシェフ。1972年大阪府生まれ。イタリア料理店で修業後、ロンヴァルディア、トスカーナ、ピエモンテなどで約3年修業を積む。2002年に同店オープン。
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