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> the chef and the sea
朝7時前、横浜市金沢八景はギラつく太陽のもとで早くも信じられない暑さになっていた。出船して15分ほど。心地よい海風を浴びながら極楽の居眠りを楽しんでいると、日本最初の洋式灯台として知られる観音崎の近くまで来ている。早速、タチウオ釣りの開始だ。
みんなの世話をしていたダイワのO氏が「アタリもありませんか?」とシェフの横で自身の仕掛けを投げ入れる。小刻みにしゃくること数回、竿がギュンとしなって、立派な型のタチウオを釣り上げた。開始から約30分、抜けるような青空に「やったーー!」と待望のシェフのよく通る声。O氏の指導の甲斐あってか、シェフもようやく釣れ始めた。
馴染みが薄い人は特殊な魚だと思い込んで敬遠していることも。ところがその実、クセのない旨みは多様な料理で活躍してくれる優れた食材なのだ。シェフは新鮮なタチウオをメインにキノコなどを使い、秋の訪れを感じさせる3品を作ってくれた。しなやかかつ切れ味鋭い料理の数々。タチウオ料理の真髄を見た。
ありま・くにあき◎「パッソ・ア・パッソ」オーナーシェフ。1972年大阪府生まれ。イタリア料理店で修業後、ロンヴァルディア、トスカーナ、ピエモンテなどで約3年修業を積む。2002年に同店オープン。
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