美味極楽メインページthe chef and the sea > Vol.16「渓流釣りで、まんぷくご飯」編|渓流釣りは気分爽快
体長40cmオーバーのニジマスも! 屋外での調理を楽しむ!
the chef and the sea
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右/奈良子釣りセンターは自然の渓流を生かした釣り場
左/この日一番の大物。40cm近いニジマスを釣り上げた
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魚は確実にいる。だが、そう簡単には釣れない
たとえ釣れなくても?
渓流釣りは気分爽快
「海ですか? 川ですか?」
 釣りを嗜むことがわかると、まずこう聞かれることが多い。釣りは海釣りと渓流釣りに大別することができ、どちらを特に好むかは人によって異なる。海釣りは、仕掛けや釣り方を駆使して海中に潜む多種多様な獲物を手に入れるおもしろさがある。船釣りにしても磯釣りにしても、比較的ダイナミックな釣りだ。一方、渓流釣りは、水中に見えている魚や岩陰などに隠れているのがわかっている魚をいかに釣るかという、魚との勝負が醍醐味のひとつ。より緻密で繊細な釣りと言えるかもしれない。
 そして性格の傾向が異なるという説も。海釣りの愛好者は仲間が多く開放的。渓流釣りの愛好者は単独行動を好む沈思黙考型……などなど。シェフにも聞いてみた。
――海釣りと渓流釣り、どちらが好きですか?
「川だね。『釣りキチ三平』をずっと愛読してきて、秋田の山奥での鮎釣りやイワナ釣りに対する憧れが大きいんだ。それに、渓流釣りはたとえ釣れなくても、森を散策しているだけでリフレッシュできるところがいいよね。……でも、釣りはどこでやっても、どんな釣りでも、ぜーんぶ楽しいよ!」
 そんな話をしつつ我々が向かった目的地は、山梨県大月市にある「奈良子釣りセンター」。連載4回目、2016年夏に訪れた管理釣り場だ。いつもは釣り上げた魚を持ち帰り、後日レストランで調理・実食の取材を行っているが、釣りの現場で屋外での調理を楽しんじゃおうというのが今回の趣向だ。
――食材の買い出しは?
「準備してきたから大丈夫。あとは奈良子釣りセンターで注文できるほうとうセット(1人前1300円・要予約)があればOK。あそこは手ぶらでバーベキューができるのもウリだけど、実はほうとうを作って食べることもできるんだ。ちなみに焼きイモ(夏期はなし)もあって、それがものすごくウマいんだよ。焼きイモも料理に活用しよう」
 シェフは奈良子釣りセンターのことにやたらと詳しい。事前リサーチが随分と入念だなと思ったら、「だって、めちゃめちゃ通ってるから。先々週も行ったばかりだし」と、3年前に訪れて以来、通い出して、いまや常連客になっていたという事実が判明した。いつの間に……シェフ、恐るべし。
準備万端、細工は流々
あとは釣るだけ
 奈良子釣りセンターは、自然に近い渓流や人工池など難易度が異なる釣り場にニジマスやイワナ、ヤマメ、アマゴなど放流している。勝手知ったるシェフは、到着するなり、お気に入りの渓流エリアへ直行し、エサ釣りを開始した。エサは喰いつきがひときわいいと言われる同センターこだわりの高級イクラ。この伝家の宝刀で、シェフはイワナとニジマスをテンポ良く釣り上げていく。「やったー!ヤマメも釣れたー」と嬉しそうな声も聞こえる。
 この日、午後の早い時間には雨が降り出して天気は大きく崩れるとの予報。午前中が勝負だ。黙々と釣っていたシェフが「おぉっ!すげえのがいたぞ!!」と興奮した様子。「エサを喰いかけて逃げってったヤツ、超でかい。あの瀬にまだいるはず」とニジマスの大物に狙いを定めた。獲物が潜んでいると思われる場所へできるだけ自然な状況でエサが流れていくように、瀬の少し上流に仕掛けを落とすこと数回、シェフの竿がギュンと半月にしなった。「おお〜〜」と、激しく右往左往して抵抗する魚の動きに合わせてシェフも移動し、竿の角度を微調整して、魚が疲れるのを待つ。動きが落ち着いたところで少しずつ引き寄せる。タモですくうと、中には体長40cmオーバーの巨体で、いかつい顔をしたニジマスがキラキラと輝いていた。シェフ、満面の笑み。
 食材に十分な量を釣り上げたところで、ルアーフィッシングにスイッチした。これまで自己流で試したことはあったが、まったく釣れなかったとのこと。センターの主人、渡辺勲さんによるマンツーマン指導で、魚がよく見える池で基本を徹底的に教わった。
 雨が落ちてきたところで納竿。シェフは「ルアーでも釣れたぞ!」とニコニコ顔で帰ってきた。
「ルアーはとにかく正確に投げられないとダメだね。それに、ただ投げてルアーがポチャンと落ちてしまうと魚をビックリさせて散らしてしまうだけだから、水面に着くと同時にリールを巻き上げてルアーを生き物のように見せなければいけない。エサ釣りよりもやることがたくさんあって技術が必要だということがよくわかった。ルアーをどう扱うと魚がどう追いかけてくるかを、実際に魚影を確認しながらトレーニングさせてもらえた。ルアーもおもしろい!」
 忘れていませんよ。奄美大島でルアーに挑戦した時、シェフは1匹も釣れなかったことを。このトレーニング成果をいつの日か披露してくださいね。
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今回の仕掛け&タックル
竿は、快適な使い心地と使い勝手の良さで、軽快に釣りを楽しませてくれる「リバティクラブ万能小継 硬調43Q」をセレクト。道糸はナイロン0.3〜0.5、ガン玉5号〜3B、ハリはヤマメ5〜8号、餌にはイクラを使用。
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今回の取材協力店「奈良子釣りセンター」
自然渓流を生かした管理釣り場で、気軽かつ本格的な渓流釣りを楽しめる。釣った魚(ニジマスやイワナ、ヤマメなど)の塩焼きの他、河川敷でバーベキューセット(1人前1800円・要予約)やほうとうセットを楽しむことも可能で、休日は釣りと料理を楽しむ親子連れも多い。予約して出かけたい

住所:山梨県大月市七保町10
TEL:0554-24-7636 
営業時間:6時半〜17時 
HP:www.narago.jp/
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