見渡す限りの海。次々と打ち寄せる波を前に竿を振る
基本準備は波打ち際から離れた所で行う
「食材を混ぜるのは任せて」とコマセを準備するシェフ。エサ用の大きいオキアミも混ぜてしまい、このあと苦労することに……
「釣りはままならない」
有馬シェフを筆頭にする食楽釣り取材班は、世界に誇る釣り具メーカー・ダイワの釣りインストラクターをはじめ、経験豊かな船頭さんら名うての太公望たちの助けを借りながら各地で釣行を重ねてきた。おかげ様で毎度大興奮の釣りを楽ませてもらっているわけだが、釣り技術の向上は非常に堅実である一方(要するに遅い)、釣りのひとつの真実を理解しつつある。冒頭の一文である。
釣りってやつはそうはうまくいかない。だからこそおもしろい。釣りってやつは、何が起こるかわからない。だからやめられない。今回はまさにそう。メジナを狙いに行って、ウツボが釣れた。
ウツボが釣れてもうれしくない? 確かに、そのような向きもあるでしょうが、”釣って食べる“
を探求する我らにとっては、「ああ、こんなにいい獲物=食材を見落としていたなんて!」と、まったくうれしい誤算なのです。
2019年の釣り初めに選んだのは、三浦半島の最南端、橋で渡れる周囲4kmほどの離島、城ヶ島での磯釣りだ。駐車場のある標高30mの高台から海岸線へと降り、長年かけて波に侵食されて美しい様相になった海岸段丘を、ポイントを探しながら歩く。