「今日はイシダイの大きいのを狙うんだって？あの引きの強いイシダイのもっと大きいやつなんて、本当に釣れるのかねえ」とシェフ。
　いつも根拠もなく楽観的な編集U氏も「今回はダメかもしれませんね、初めて市場に材料を仕入れに行く回になるかも」と弱気だ。

船長の経験と勘でポイントを決め、錨を打って一箇所でじっくり勝負する。仕掛けは至ってシンプル。２本の大きな針と錘のみ。錘を海底まで落とし、イシダイ特有のアタリを捉えたら、グッと引いて針を魚の口に引っ掛けて釣り上げる。イシダイのアタリは小さく微妙なため、これにみんなが苦戦した。

３品に共通するのは、すべてにイシダイのあらからとった出汁が生かされていることだ。
「この手の魚の最大の特長は、あらから出る旨み。今美味しい新米や根菜にしっかり吸わせてあげたかったんだ。もちろん身自体も抜群だし、捨てるところがない魚だね」