緑に覆われた島と青い海の美しいコントラストを愛でながら楽しむ釣りは、この上ないよろこび
「おおー、海が青いよ、南国の海の色だよ!」
快調に航行するボートの上で、飛沫を浴びながらシェフがはしゃぐのも無理はない。東京から1200キロあまり。鹿児島県は奄美大島へとやってきた。これまでは東京近郊のポイントをめぐり、泊りのロケすらなかったのに、いきなり飛行機に乗って2泊3日の大遠征ときた。相変わらず釣りの腕はビギナー街道をひた走っているが、釣り人たちの憧れの場所のひとつである奄美大島に、早くも足を踏み入れてしまったのだ。どうもすみません。
奄美大島での釣行をサポートしてくれるのが、凄腕の釣り人が集まるオーディションで選出された奄美大島在住のダイワフィールドテスター・池秀平さんだ。池さんとは島の居酒屋で開いた作戦会議で、名物の黒糖焼酎をすでに酌み交わした仲だ。
「実は昨日、池さんに前にも会ったことあるはずだけどな、ってモヤモヤしてたの。宿で思い出したんだけど、池さんが奄美で釣りしてるDVD持ってた。今まで何度も観てる(笑)。池さんがついてるなら、間違いない。今日は釣れるわ」
全国的な天候不順が続いたあとで、奄美大島も異常な寒さを記録した直後。この日は穏やかな陽気となったが、こんな珍しい状況では百戦錬磨の池さんでも釣れるかどうかわからないという。池さんが選んだ釣りは、エサで水深30mほどにいるハタの仲間を狙うというもの。奄美大島の南方に浮かぶ与路島の沖にやってきた。
このとおり、クーラーボックスが満杯になる釣果。池さんと船頭さん、ダイワの道具、運の良さの賜物だ。奄美の海には、プランクトン由来のシガテラ毒を持つ可能性がある魚もいる。バラハタなどはリリースした。毒のこともきちんと勉強していきたい
エサはイカの切り身とキビナゴ(食べても美味しそう)で、ふたつの大き目の針に付けて底まで落としたら、1mほど上げてから少し上げ下げしてアタリを待つ。コツコツという反応はエサ取り名人のカワハギの可能性大。クイッとちょっと変わった反応があればハタの可能性が高いので、竿をすっと上げて合わせるのだとか。ハタの仲間はさまざまな種類が生息しているが、中でも味がよく高級魚として知られるスジアラ、やはり食材として人気が高いアカハタが釣れたら上出来だそうだ。
このページの写真でも見えてしまっているし、結論から言おう。釣れました! しかも大漁。3人で大型のクーラーボックスの蓋が閉まらなくなるくらいの満足の釣果だった。
図鑑とにらめっこしながら、同定した魚の一部を紹介しよう。スジアラ(やったー!)、アカハタ(やったー!!)、シロダイ、アオノメハタ、ヨスジフエダイ、ホウセキキントキ、キツネアマダイ、アカモンガラ(通称ドラキュラ)、ヒトスジエソなどなど、そしてカワハギの仲間たち。全部で21種類だ。
――シェフ、奄美大島での釣りはどうですか?
「楽し過ぎる! 池さんと船頭さんに釣らせてもらった感じ。本当にありがたいよ。船頭さんなんて魚群探知機もなしで、窓から顔を出して周りのいろんな島の見え方で位置を確認しながら、経験上知ってるポイントに連れてきてくれてるんだ。奄美のワイルドな大自然の中で、そこに生きる男たちのたくましさを体感させてもらった気分」
――釣れるたびに何だこれは!?っていう驚きを味わえるのも、ここでの釣りならではですね。
「興奮しっぱなし。いつも築地で見たり、漁港から送ってもらう魚とは違っていて、カラフルだし、形が変わっている魚も多いね。さっき釣れたカワハギなんか大きな鱗に覆われてるんだ、初めて見たよ。しかも、ほとんどが味もいいらしいから、料理するのが楽しみだ!」
竿は船釣りをライトに楽しませてくれるダイワ「ライトゲームXV」。リールはダイワの手巻きリールのフラッグシップであり、なめらかでシルキーな回転性能が保たれる「ダイワミリオネアバサラ200H」を使用し、奄美大島の海に挑んだ。
1967年生まれ。鹿児島県奄美大島在住。ダイワフィールドテスターであり、ルアーゲームを中心に活動する、奄美の海を知り尽くしたスペシャリストだ。