三浦半島の突端にある松輪間口漁港から沖へわずか5分ほどのところで、いざ釣り開始。緑豊かな美しい海岸線が続く、気持ちのいいポイントだ
電動リールの使い方を熱心に聞くシェフ。道具を正しく使うことは釣果に直結する。……と、身に染みて実感する今日この頃。シェフはヒラソーダガツオをゲット。刺身がめっぽう旨い
一時間幸せになりたかったら酒を飲みなさい。三日間幸せになりたかったら結婚しなさい。一週間幸せになりたかったら豚を殺して食べなさい。永遠に幸せになりたかったら釣りを覚えなさい。
――中国の古いことわざ。
この発信者は釣り好きに違いない。釣りのアリ/ナシで世界を二分して、「釣りのあるこっちの世界はいいぞ」と言っているのだ。余計なお世話だ。
……と、以前の『食楽』釣り取材班なら、そう思ったかもしれない。さて今はどうだ。有馬シェフと会うと、気付けば釣りの話をしている。40代で釣りのある世界の住人になり、「釣り、もっと早く始めればよかったなあ」と心から思っているのである。川があれば魚がいそうな場所に思いを巡らせ、磯を見たら海中にどんな魚がいるかイメージをふくらませる。なんでもない水の風景にワクワクするようになった。これはなんと豊かなことだろうか。
午前7時、三浦半島の突端、松輪間口漁港に到着。若き船長の仕立て船「育丸」に乗り込んだ。
――シェフ、イシダイ釣りのことを調べてみたんですけど、大抵「難しい」という説明で、詳細は理解できませんでした。
「イシダイって、僕にとって憧れの魚。『釣りキチ三平』のイシダイ編では魚紳さんが故郷の両親と再会して…(毎度おなじみの三平談義は省略)、味もすごくいい魚だし、もう言うことない。でも正直、今回はさすがに釣れないような気もするんだよ。そろそろ坊主の回があっても、連載的にはアリでしょ? 逆においしかったり」
なんだかちょっと弱気だ。熱心に通っているアユ釣りで、釣れていないことが原因だろうか。
――シェフ、アユはちょうど条件が悪い日ばかりだったんですよ。今日は条件よさそうですね。これで釣れないとなると……。
「励ましてるつもりかもしれないけど、追い込んでるよ!」
イシダイ五目では棚を取るのが重要。リールは親指1本での操作が可能なJOGパワーレバーと、上からも底からも水深が測れるカウンターの付いた「シーボーグ200J」を、竿は船中でマルチに使える「ライトゲームXV MH-180」を使用。
親子3代が営む仕立専門の船宿。イシダイ五目のほか、これからの時期はカワハギや真鯛、ヤリイカなどを楽しませてくれる。帰港後に出てくるラーメンも美味。
住所:神奈川県三浦市南下浦町松輪534(駐車場)
TEL:046-886-1976
HP:
http://ikumaru.com