初夏を思わせる爽やかな陽気の早朝、有馬シェフと取材班を乗せたクルマは、中央自動車道を西へ向かっていた。今回、フィールドに選んだのは新宿から約80キロの「奈良子釣りセンター」。奈良子川の渓流を生かした管理釣り場で、ありのままの緑に囲まれた環境だ。

タケノコの皮にしても内臓にしても、真っ先にゴミ箱に捨ててしまっていたものが、こうして食材として大切に扱われ、料理になっていくなんて衝撃です。身近にある食材の新たな可能性にもっと目を向けなければ、と思います。

「ま、食べてみなよ」と、少し日に焼けたシェフはいつにも増して楽しそうだ。その笑顔を見て、味見させてもらう前から、もうわかってしまった。それがとんでもなく美味しいってことを。