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> the chef and the sea
釣りとなるといつも真剣なシェフだが、今日の集中力は特にすごい。というのも、仕掛けを海底へ落とし、それを引き上げるだけでも数分ほどを要するわけだが、この日は常に群れを追って移動しなければならないため、1カ所のポイントでの投入はほぼワンチャンスの状況だ。1投にかける気合が違ってくる。
日本での魚介消費量の中でもトップクラスの身近な食材だけど、まだ知らないことばかりだと実感した。高性能な魚群探知機があっても今日のように釣れないこともあるんだから、経験と勘でポイントを選んでいた昔の人は本当に苦労しただろうね。1本釣りのイカは安くはないけど、これからは”買わせていただきます“ という気持ちになるだろうな。
「モノがいいから、イタリアンでもやっぱりいいぞ」とシェフが出してくれたのは3皿。ハッサクが香るジェノベーゼソースをまとったイカは、なんとも春らしい味わいで、こちらも日本酒がほしくなるから不思議だ。
ありま・くにあき◎「パッソ・ア・パッソ」オーナーシェフ。1972年大阪府生まれ。イタリア料理店で修業後、ロンヴァルディア、トスカーナ、ピエモンテなどで約3年修業を積む。2002年に同店オープン。
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