それだけ世界中で大量に消費されているイワシ。
今回の釣行でも、海釣り施設の全域で大漁につぐ大漁が見られたわけだが、こんなに捕ってしまって、資源として枯渇しないのだろうか?
なにしろ成魚だけに限らず、シラスや煮干しとして全ての段階でも捕っている。それにも関わらず、イワシは毎年確実に涌いてくれる。毎年必ず我々が安全に食べることができる。
ウエカツはいう。
「そういうところに、天の采配を感じずにはおれないんだなァ。そういう仕組みにできている。ありがたい」
まさしく、イワシは全生物にとって天の恩恵なのかもしれない。
「日本の昔からの魚の食べ方を見ると、自分の好きな魚だけを一年中ずっと食べているというワケではないんだな。その季節季節の一番捕れている魚を中心に、まんべんなく色々な種類を色々な成長段階で食べてきたんだよ」
これは偏った魚種に漁獲圧力がかかると、その資源が枯渇するという問題を、ものすごく軽減しているのだという。ところが!
「最近は日本でも、高い魚や、わかりやすい魚、旨いから売れる魚に偏って獲って売られている。これは問題だね」
例えば脂がのってる魚じゃなきゃ食べたくない≠ニいう、最近の食の嗜好のこと。
「僕はそこにものすごく危機感を持っている。かつては海の資源をバランスよくいただいていたのに、そんな嗜好の変化が、めぐりめぐって海の資源を枯渇させてしまう恐れが出てきたということだ」
さまざまな食材を満遍なく食べる≠アとが食資源を枯渇させない重要なポイントなのだ。
そのことを象徴する食材。それがこのイワシなのかもしれない。
「日本人が大量にシラスを食べるのを西洋の資源学者が見たら『なんてことだ!』と怒るかもしれない。でもイワシは枯渇していない。固定観念で小さなものは食わないと決めつけるよりも、自然界の仕組みを理解して、その恵みを味わいながら、学び、暮らしていく方がむしろ合理的。特に東京湾に関しては、これだけ密集した大都市のすぐ横で、これだけの恵みを保ち続けている。それを象徴するのが海の米≠ナあるイワシだと言いたいわけよ」
この記事を読んだら、スーパーででもいい。もう一度イワシをよく見てやってほしい。ひとたびその役割を知ったなら、味わいだって違ってくるはずだ。