美味極楽メインページthe chef and the sea > Vol.06「晩秋、夜のアジ・カサゴ釣り」編|これから、夜釣りへ。
背徳感にも似た感覚 これから、夜釣りへ。
the chef and the sea
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ベイブリッジを支える橋脚の下に船を泊めて、キャスティング開始。コンクリート基礎の周辺にカサゴがたくさんいるはずだ
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巨大な建造物が海にせり出して建つような東京湾。ほどよい灯りに照らされる岸辺は幻想的な光景だ。
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夜釣りでヘッドライトは必需品。手元を照らして細かい作業をする
工場の夜景を愛で
釣り糸を垂らす贅沢

 太陽の光がゴールドの色を帯びてきた晩秋の夕方、有馬シェフは神奈川県横浜市を流れる鶴見川の河口近くにいた。夕飯の支度を急がなきゃと買い物袋を載せた自転車で駆け抜ける主婦、プロ野球中継を観ながら一杯やろうというのか、ネクタイを緩めて家路を急ぐサラリーマンらが行き交う橋の上で、シェフは海へと続く水面を静かに見つめていた。
「楽しみだな。今日の釣りのことを考えると眠れなかった」
 これから、夜釣りへ出る。世間は一日の終わりと安息へ向かうなか、船に乗り、暗くなるのを待って釣りを始める。背徳感にも似たこの不思議な感覚もまた、夜釣りの楽しみなのだろうか。
 夕焼けに染まる富士山に見送られて出航した船は、横浜ベイブリッジをくぐり、巨大なキリンが立ち並ぶような本牧埠頭のガントリークレーン群を間近に眺めながら、カサゴ釣りのポイントへと向かう。
「海からの工場の夜景、なんてきれいなんだろうね。これを見に来るだけでも価値があるのに、釣りもできるんだよ。こんな贅沢なことはないよ」
 ライトアップされた高速道路の橋脚は、とてつもなく大きく見える。その下で、糸に小さなルアーを付け、真っ黒な海にキャスティングする。カサゴは海底に潜む根魚で、海底から離れることなくエサの出現を待っている。そんなカサゴに見えるところで、ルアーを「私、エサです。おいしいですよ」と動かすことで喰いついてもらう釣りなので、仕掛けをしっかり海底まで落とすことが肝要だ。糸のたわみなどで仕掛けが底に着いたことを推測するのだが、これを釣り人は「底を取る」というらしい。底を取ったら、竿を上下させてルアーを50pくらいの範囲でピクッピクッと動かす。漆黒の海の底で、自分のルアーははたして生き物のように動いているだろうか? 想像力が必要だ。
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今回の仕掛け&タックル
竿は軽さの中にテクノロジーを凝縮させ微かなアタリを確実にとらえる、ダイワの「月下美人 AJING64.5L/H」。3gのジグヘッド「月下美人SWライトジグヘッドSS」にワーム「月下美人ビームスティック」を付け、アジ・カサゴを狙う。
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今回の協力船宿店「康友丸」
ルアーによるシーバス、カサゴをはじめ、これからの時季はメバル釣りを楽しませてくれる。乗船場所はJR鶴見駅からすぐの潮見橋のたもとから。

TEL:090-3900-7026
ブログ:http://kouyuumaru.web.fc2.com
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