連載 ニッポン釣魚紀行 料理人、海へ。
VOL.9
料理人 「葡呑」 シェフ 中湊 茂氏×カサゴ
最高最良の魚は市場にはいない。なぜなら、どんな魚も自分で釣り上げた魚には質、鮮度ともにかなうべくもないからだ。『葡呑』オーナーシェフにして鮮魚店の三代目でもある、魚のプロフェッショナル中湊茂が今、最高のカサゴを釣る!
なかみなとしげる◎西麻布のワインと和食の店『葡呑』をはじめ、赤坂の魚料理店『湊』など数々の飲食店を擁する『みなとや』グループの総帥にして、鮮魚店の三代目。日本料理はもちろんイタリア料理からアジア諸国の料理まで世界中の魚料理に精通し、日夜、酒と魚を愛する人々の舌を唸らせている。

撮影◎村岡栄治 取材・文◎佐藤克之 撮影協力◎グローブライド(株)
真っ赤な太陽のもと
緋色の魚を求めて出港!
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カサゴ
関西ではガシラ、九州ではアラカブ。岩礁に生息するため市場には出回りにくく、1匹千円以上の価格がつく。年間通して美味
 太陽がこれでもかと輝いていた。
 日本列島上空を、夏お決まりの太平洋高気圧がおおい、さらにその上にはチベット高気圧までが張り出している。
 気温は34度。
「暑っいね〜」
 船着場の前で『葡呑』オーナーシェフ・中湊茂が汗をぬぐいながらつぶやく。
 午後1時。村上釣船店の第二千代吉丸は、そんな灼熱の新安浦港を出航した。
 すると海風が体を走り、体感温度が一気に下がる。俄然、快適になる船上。これが夏の船釣りの醍醐味なのだ! 
 老舗鮮魚店の三代目でもある中湊は、その魚類察知DNAが早くもうずきだしたらしく、先ほどの暑さも忘れロッドを握りしめた。
『葡呑』の美人女将として『食楽』でもお馴染みのソムリエール・熊坂智美も、船首から目指すポイントをジッと見つめている。
 二人が今日狙うターゲットはカサゴ! 海中の岩場やテトラポッドの隙間に生息する根魚だ。釣りの経験も多い二人だが、カサゴ釣りは初めて。そこで今回、ダイワ釣りツアーの女性インストラクター、いわばプロフェッショナル釣りガールの小堀友理華が同乗し万全を期す。