連載 ニッポン釣魚紀行 料理人、海へ。
VOL.6
料理人 「ラ・フォルナーチェ」シェフ 小串貴昌氏×ワラサ、鯖など
日本で、いや世界で一番新鮮で質のいい食材を提供する市場は大自然の海であった!ただし食材を手に入れるために必要なのは金銭ではない。
そこに求められるのは“釣り”というひとつの冒険だ。今その冒険に旬の料理人が挑む。
おぐしたかまさ◎東京・代官山のイタリアンバール『ラ・フォルナーチェ』のオーナーシェフに加えて、白金に『エノテカ・クリッカ』、『あかね食堂』と、計3店舗のオーナーも務める。どれも気軽に立ち寄れ、気さくかつ美味しい料理が楽しめる店だ。釣りはルアーがほとんど。船釣りは今回が初めてとのこと。

撮影◎村岡栄治 取材・文◎佐藤克之 撮影協力◎グローブライド(株)
初の船釣りに気合い十分。ワラサを狙い毘沙門沖へ
 東京湾が太平洋の海原へと、その口を開ける三浦半島・毘沙門沖。
 午前6時半という早朝にもかかわらず、そこには50隻を越える釣り船の大船団が形成されていた。
 船団の一隻。剣崎松輪港『成銀丸』の舳で、今や遅しと船長からの釣り開始の合図を待つのは『ラ・フォルナーチェ』オーナーシェフ・小串貴昌。
「もう昨日から気合入っちゃって、あんまり寝れませんでしたよ」
 そこまで気合の入る小串の想いは、大船団に乗る、おそらく500名になりなんとする釣り人と同じ“ワラサを釣る!”このひとつ。
 ワラサとは、ワカシ〜イナダ〜ワラサ〜ブリと、大きさによってその呼び名が変わる出世魚・ブリの、ブリにいたる直前の60cmから80cm程度のものをいう。
 ブリほど脂がしつこくなく、イナダほど淡白でもない、ちょうどいい食味と、強烈な引きのスリルあふれる釣趣から、秋の釣りターゲットとして熱狂的なファンを持つ魚である。
「釣りといえば、いつもは磯からアオリイカを狙ってるんです。だから船釣りは初めてなんですが、やっぱり……釣りたいっすね!」
 小串の気合がますます高まる。
 ワラサ釣りのコツはコマセを大量に撒くことだといわれている。
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ワラサ、鯵、鯖
手前からワラサ。その中でも60cm前後のワラサとイナダの中間サイズを釣り人は“イナワラ”と呼ぶ。そして鰺2尾を挟んで鯖。